マカオでの小さな演奏会

今年の暑~い夏、仕事で香港に行きました。東京の気温が35℃位の時、香港は湿気の為、体感気温が42℃位だと、現地のTVが放送していました。ゴジラのように、吐いた息が火に変わるのではないかと思う程のひどい暑さでした。

そんな中、たった3日間の香港滞在中に、突然4時間ほどの時間が空いて、急に「マカオに行こう!」ということになりました。これがいつもの私のひらめきによる突発的行動です(笑)。マカオは香港のように、中国の特別行政区で、またパスポートに入国のスタンプをもらうので、更に海外へ行くという意気込みが要るはずなのですが、 何の計画もないわけですから、とりあえず高速船に乗って約1時間。向こうに着いてから考えよう、って感じでした。ただ、「そうだ、まずは、ポルトガル料理のお店へ行こう」・・それだけは決めていました。

ところがマカオで入った5テーブル位しかない小さな小さなレストランで、すごい心に触れるエンターテイメントに出会いました。ランチタイムをとうに過ぎた時間でしたから尚更のこと、お客さんは私たちともう一家族だけ。しかもその家族はお食事を終えて帰る支度をしていました。3名のギタリストが私の真ん前に現れ、私の目を見ながら語りかけるように歌い始めたのです。突然のパフォーマンスにビックリしたこともありますが、私はもう釘付けです。アコースティックのギター3本で、マイクも使わず、澄んだきれいな生の声だけでした。静かに始まったその歌声が、リズムとともに段々盛り上がり、情熱的なメッセージが伝わってくるようでした。スパニッシュ・ポップスでした。

たった15分程ですが、いえ、15分も!生の演奏を独り占め出来たんです!誰かが自分のために歌ってくれる。素敵じゃないですか!私は、これまでたくさんのショーの企画やステージングをしてきました。どうやってお客さんを喜ばせよう、って。ショーの構成・音響・ライティング、等々。それらすべてが必要な事でした。でも、特別な機材が何もなくても、こういう温かな心を直接感じることが出来るエンターテイメントがあるんだ。これが人々を感動させることが出来るんだと、何だか原点に戻されました。そして自分自身の力んでいたものが取り除かれた、ホッとする時間でした。最後に、日本から来たことを伝えて感謝をすると、「じゃあ、特別に、“エリー・マイ・ラブ (いとしのエリー)”をプレゼントしましょう!」と言ってくれ、私も立ち上がって一緒に歌いました。ちなみに、歌詞は日本語でした。スゴイ!

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